薬剤師が本当に団結するために

私が薬剤師の免許を直接使わないことを決めたのは、就職当時、あまりに薬剤師が受け身にすぎる職業に思えたからだった。

私自身、「女たるもの、手に職つけて生きなさい…」という母の刷り込み、あらゆることを悩み続け、調べ倒してからしか行動できない性格が薬学部進学に強く影響しているのを自覚していたし、大学在学中はずっと殻をやぶりたい、何か変わる方法はないのか、と考え続けていた。

そして、最短コースで直接的に診断や処方の大元に触れられる仕事として製薬メーカーを選んだのだ。

 

MRを経験したおかげで、自分からアクションを起こさない限り状況は変わらないことを経験して、「ひとまず自分から動く」のを多少は身につけられた。

また、自分の知識を元に処方が変わり得るダイナミズム、医師のアタマの中に占める薬物治療の面積はかくも小さいことを知るにつけ、内勤ベースの職種に変わってからも会社のリソースを利用して広く情報発信できる術を意識して多少なりとも身につけてやってきた。

(身バレするから実践内容はなかなか書けないけど)

 

市民や患者に直接語りかけられる薬剤師や、研究者、行政担当者でなくとも、製薬や化学等の企業に就職して専門知識を使う社員など、立場は異なっても薬剤師なら市民の健康に寄与する目的で仕事しているはず。

 

薬剤師が自分の得意なテリトリー内だけで、異なる立場の薬剤師を批判したり、至らぬ点をあげつらうことに進歩はない。

すべての薬剤師の立場を否定することなく、得意分野を横に繋げて団結することはできないか。

そういう意味で、メーカーサイトイコール悪、個人薬剤師の発信イコール善、というステレオタイプにはやはり違和感がある。

メーカーの裏側にも正しいことを伝える使命感を持った薬剤師は居るし、メーカーだからわかること、得意なことやできることもある、と伝えたい。

 

あらゆる薬剤師がそれぞれの立場で、また、ときに立場を超えて市民の薬物治療や健康にコミットしていけるよう、考えすぎず、まずは行動していきましょう。

 

 

この記事は、世界薬剤師デーの本日、SNSなどで情報発信する「#立てよ薬剤師」の趣旨に賛同して記載しました。